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囲まれる!

 久しぶりにちょっと遠出をしてきました。
昨年瀬戸内芸術祭のあった女木島・男木島です。ほとんどの作品は会期が終わると撤収されたのですが、少しだけ引き続き設置されている作品があるというので、見に行ってきました。

 高松に到着して、まず女木島に渡ろうと船に乗ろうとすると、もらったのが一枚のちらし。「サクソフォーン・サークル」とあります。サクソフォーン・サークル??ちらしの裏面を詳しく読んでみると「24名のサクソフォーン・プレイヤーによる空間音響実験企画です。聴衆を取り囲むように配置されたプレイヤーの作る円環の中で、空間的なサウンドを楽しみます。演奏される楽曲は、この実験のために作曲・編曲されたものです」とある。
 このブログでも以前取り上げましたが(4月10日記事)、サントリーミュージアムでジャネット・カーディフという人の「40声のモテット」という作品を見たことがあります。その時はスピーカーが円形に並んでいたけれど、今回はその生音バージョン!?と思うと、ものすごーく興味がわいてきて、予定を急遽変更して、参加してみることにしました。
 女木小学校の体育館に行ってみると、譜面台が円形に並んでいて、観客(聴衆)はその円の中に入って演奏を味わいます。できるだけ円の中心にいた方が効果が感じられるということで、ぎゅうーっと真ん中に小さく固まって聞くことに。
 曲は3曲。最初は、「Piano Phase」という曲。12個の音からなるひとつのフレーズを微妙にずらして複数人数で演奏することで、ひとつのフレーズから複雑な音の模様を作ろうというような実験的な楽曲。確かに単純なはずのフレーズからは想像もつかないような厚みとか、突出してくる音のでこぼことかが感じられて、それが一方の方向からではなくて様々な方向から耳に飛び込んでくる感じはとても面白かったです。他の2曲(「ヒタヒタトシミワタル〜滴の風景〜」「環〈Planetary ring〉」)はこの実験のためのオリジナルだったそうです。
 面白かったのは、最後の「環」を2回聞くことができたこと。最初4面に設置された電子メトロノーム(PC画面に拍子が映る)に合わせて演奏されたのですが、メトロノームの調子があまりよくなかったらしく、作曲者自らが指揮して2回目の演奏をやることに。電子指揮と人間指揮、どこがどう違っていたか、はっきり表現することは難しいのですが、人間の指揮の方が音がなめらかで、確かになんとなく、響きの具合が違っていたような気がしました。指揮者って、やっぱり大事ですね(笑)
 小学校が会場だったり、地元のお年寄りがぶらっと見に来て参加されていたり、地元に密着した感じのイベントで、ちょっと地元のお祭りによそ者がまぎれこんじゃったような感覚もありつつ、面白い体験をさせていただきました。ありがとうございます。予定しない出会い、こういうハプニングは旅の醍醐味ですね。


女木島は「鬼ヶ島」という名前でも知られている島。鬼が住んでたという(ことになっている)洞窟があります。その中にもアート作品があるというので、入ってみたのですが、ひんやりして、暗くて、はっきりいって、怖い・・・アート作品は一人でゆっくり見るのも好きだけど、あの場所に限っては一人で入るのは相当勇気がいりますね・・・。アート作品であるサンジャ・サソの「裸の桃の勝利」は、鬼につかまった魂への鎮魂という意味合いのある作品だそうですが、ワイヤーで作られた人間の身体がはかなげで暗闇にぼーっとゆらゆらしていて、それに比べて、元々の住民である鬼達の原色っぷりが両極端で、でも、どっちも怖かったです(笑)異質なものが共存してる感じが相乗効果で余計に怖いのかも・・。とっても不思議な空間でした。

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 女木島では他にも面白い音の作品に出会えましたが、その話はまた次回に・・・。
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by sound-resonance | 2011-09-28 19:44 | 音・色あれこれ