愛はとこしえ〜草間弥生〜

 草間ロールだけ食べて、展覧会に行かないというのもどうか?と思い、行ってきました「草間弥生展」。
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中之島の国際美術館の玄関前からすでに水玉のオブジェ、自動ドアにも水玉、すでに草間ワールド炸裂です。
 草間さんって人気あるんですね〜、祝日だったからというのもあるのでしょうが、人がいっぱい、チケット売り場に行列ができており、ちょっとおじけづきつつチケット購入。中に入ります。
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 面白いな、と思ったのは、基本的には作品は撮影禁止なんだけど、何カ所か「撮影許可ポイント」があること。水玉模様のかぼちゃの前とか、水玉背景のチューリップ(チューリップも水玉)の前とかで、ポーズをとったりしながら記念撮影している人達がたくさんいました。こういうちょっとした「観光地っぽさ」も人気の理由なのかもしれませんね。
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 草間弥生さんにとって、「水玉」「網目」は「そう見えるから描く」ものであって、考えて考えてひねり出したしたものではありません。水玉の幻覚が無限に拡がって、部屋中、身体中が水玉でおおいつくされて、自分自身もその中に還元され、消えてしまう、その自分自身が消えてしまう恐怖から逃れるために、彼女は自ら「水玉」を世界に仕掛けていくのです。
 作品の完成後、「水玉」の服あるいは直接皮膚に水玉をつけて作品と同化します。これで「自己消滅」の儀式が完結します。
 世界に取り込まれ、同化してしまうことが怖くて仕方がないのに、「自己消滅」をどうして自ら仕掛けていくのか、ちょっと不思議だったのですが、水玉を使った「自己消滅」の儀式は、逆説的に「自己消滅を仕掛けた『私』」を確認する作業なのかもしれないな、と思いました。彼女は、自分の方から仕掛けていくことで、かろうじて、紙一重のところで幻覚に勝ち続けているんでしょうね。これからもアートという手段で闘い続けたい、みたいなことをおっしゃってましたが、外的な評価、世界との闘いももちろんあるかもしれないですが、「自分を保ち続けること」が闘いなんでしょうね。呑み込まれないで「自分」を保っていられる、いやはや、強烈な個性です。

 それでも、80歳を超えた彼女の作品には「力み」とか「押しつけがましさ」みたいなものが感じられませんでした。不思議な軽やかさ。いや、人がいっぱいいたからかもしれませんが(笑)一人であの空間に閉じこめられたら、「押しつけがましさ」を感じちゃうかもしれないけど・・・。

 「愛はとこしえ」という2004年から2007年まで制作された50点のシリーズの原画は白いキャンバスに黒のマーカーペンで描かれたモノクロの作品で、人の横顔や、女の子、目、犬などの動物たちが描かれています。モノを水玉や網目で覆うという従来の作品から、ちょっと変わったみたいです。空間をおおいつくすという強迫的なところは同じだけど、覆うもののバリエーションが出てきたかんじ。次の「わが永遠の魂(2009年〜」になると、色彩がばーんと出てきます。草間さん、ちょっと楽になってきたのかな、という気がしました。草間弥生は、もう誰がみても、「草間弥生」でしかなくて、消そうと思っても消しようのないアーティストで、強烈な個性です。その上で、彼女が「私大好き!」と叫ぶことは、自己愛を超えて世界愛につながっているような、なんだかそんな感じがするのです。彼女が自分を愛することが世界が愛されていることにつながっている、みたいな。「私大好き!」=「(私も)私大好きって言っちゃってOK!」みたいな・・・(笑)その辺りが、彼女の作品が人気な理由かもしれません。

赤と白、混ぜたらピンクのドット(水玉)の中でそんなことを考えた一日でした。

カタログに「展覧会の感想をブログ、ツイッターでぜひご紹介ください」とありました。撮影ポイントで撮られた写真がブログやツイッターを通じてどんどん増殖していく・・・。草間さんご本人が仕掛けたのかどうかは不明ですが、これも、彼女らしい「戦略」ですね(笑)

コレクション展の方にも彼女のネットとソフトスカルプチャー作品が展示されています。そちらもお見逃しなく。
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by sound-resonance | 2012-03-21 20:20 | 観る・読む・聴く | Comments(0)