サイレンス

空っぽの空間や空っぽの時間などというものはない。見るべき何ものか、聴くべき何ものかがいくつもある。実際、沈黙をつくろうとしても、つくることなどできないのだ。ある工学的な目的のためには、できるだけ静かな状況が必要とされる。こうした部屋は無響室と呼ばれており、六つの壁面が特別の素材でできた、反響のない部屋である。私は数年前、ハーヴァード大学の無響室に入って、一つは高く、もう一つは低い、二つの音を聴いた。そのことを担当のエンジニアに言うと、高い方は私の神経系統が働いている音で、低い方は血液が循環している音だ、と教えてくれた。私が死ぬまで音は鳴っている。そして死んでからも音は鳴り続けるだろう。音楽の未来について恐れる必要はない。

                             ジョンケージ「サイレンス」
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by sound-resonance | 2015-08-02 22:34 | 観る・読む・聴く | Comments(0)