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黄金のがちょう

いつまで続くかは不明ですが、今日も、童話シリーズ、今日のお話は「黄金のがちょう」です。
この話は、タイトルだけ聞くとピンと来ない人もいるかもしれませんが、あらすじを聞くと、「ああ、知ってる!」となる人も多いはず。

あらすじはざっとこんな感じです。

あるところに、三人兄弟が住んでいた。ある日、一番上の兄が、森に木を切りに行くことになったので、母親は、ふわふわの甘いパンと、上等の葡萄酒を持たせてやった。一番目の兄が森につくと、小人がやってきて、持っているパンと葡萄酒を分けてほしいと言う、そんなことをしたら、分け前が減るじゃないか、と賢い兄は答えて、小人には、食べものをあげなかった。そうすると、森の中で怪我をしてしまう。
次に2番目の兄が森に木を切りに行くことになり、母親は、一番上の兄の時と同じように、ふわふわの甘いパンと、上等の葡萄酒を持たせてやる。そこに、また小人が現れて、食べものを分けてくれというが、賢い二番目の兄も、それを断り、森の中で、怪我をしてしまう。
いよいよ、3番目の末っ子が、森に行くことを申し出るが、常日頃みそっかす扱いされてきた末っ子が役に立つとは誰も思わない。それでも、森に行くというので、母親は、灰を入れた固いパンとすっぱいビールを持たせる。そこに再度小人が現れて、食べ物を分けて欲しいというので、末っ子は、気前よく分けてやる。そうすると、パンは、ふわふわの甘いパン、すっぱいビールは上等の葡萄酒に変身する。そして、木を切り倒すと、そこには黄金のがちょうがいた。

もし、ここまでで、話が終わるとすれば、「黄金のがちょう」は、「富」「豊かさ」のシンボルなんだな、無欲な者には、「豊かさ」が与えられるのだな、で終わるところなんですが、ちょっと面白いなと思うのは、後半部分が続くことです。

ということで、後半。
末っ子は、がちょうを町に売りに行くことにするが、日が暮れたので、宿に泊まった。宿のおかみさんは、がちょうが欲しくて夜中に、部屋に忍び込んでがちょうを連れ去ろうとするが、羽に手がくっついてしまい、離れなくなる。それを見た宿のおやじが妻をがちょうから離そうとするが、これまたおかみさんとくっついてしまう。末っ子は、宿のおやじとおかみさんをくっつけたままがちょうを連れて町に向かうが、その途中で、くっついた人がどんどん増えていく。
ところで、町には王様と、その娘(姫)がいた。姫は、美しいが、笑うということがなく、姫を笑わせることができた者に、姫をやると、王様は公言していた。末っ子が町に到着した時には、がちょうを筆頭にした滑稽な行列ができており、それを見た姫が初めて大笑いした。
末っ子に姫をやるのが惜しくなった王様の無理難題を小人の協力もあって、クリアした末っ子は、めでたく姫と結婚する。

笑わない姫が、黄金のがちょうとそれにひっついている人の行列をみて、笑う。ここがポイントだな、と思ったりします。滑稽さ、コミカルさ、笑い、は、イエローの領域のキーワードですね。黄金のがちょうを見て、姫は、生まれて初めて、もう、腹の底から笑ったのだと思います。チャクラでいうと、イエローは、ちょうどお腹の領域ですね。そうやって、お腹のイエローが活性化されたところで初めて、「自己」に目覚めた感もありますね。童話では、「姫の気持ち」は書かれていないんですが、きっと、姫自身も、末っ子のことが気にいって、結婚後は、幸せに暮らしたんじゃないか、そんな想像をしてみたりもするのです。もちろん物質的豊かさをももたらした黄金のがちょうではありますが、どちらかというと、モノでははかれない豊かさについて教えてくれているような、黄金のがちょうのお話なのでした。

by sound-resonance | 2015-11-15 20:20 | 童話シリーズ