一音成仏

尺八にまつわる言葉に「一音成仏」という言葉があるのだそうです。

一音成仏・・・・一音で仏になる、または仏にするということ。尺八で奏でる一つの音で、悟りの境地に至ること。

尺八は、元々は中国(唐)から雅楽の楽器として日本に伝来しましたが、鎌倉時代〜江戸時代にかけて日本独自の発展をし、日本の楽器になりました。

特に、関ヶ原の合戦後、職にあぶれた武士達が大量に浪人となった際、普化宗という宗派を成立させ、武士であり、なおかつ僧でもあるという立場を作り上げました。虚無僧と呼ばれる彼らは、托鉢で、食を得ながら、全国を自由に往来したのです。
彼らは、「法具」として尺八を持ち歩き、奏でました。尺八を吹くということは、虚無僧にとっては、座禅を組んだり、読経するのと同じく修行の一環だったのです。
普化宗は、元々は、唐の普化禅師を開祖とする禅宗の一宗派ですが、尺八が仏教(禅)と深く結びついたのは、この江戸時代からでした。

お能にしても尺八にしても、「武士」が関係しているのが面白いな、と思ったりします。お能も、元々は、五穀豊穣を願って神に奉納した舞が起源ですが、武家の養護の元に芸術として大きく発展しました。武士の時間の感覚って、多分例えば農民、町民の感覚とはちょっと違っていたのではないでしょうか。刹那の感覚、一瞬のうちにすべてをこめるような感覚、「一音成仏」の感覚は、武士ならではの感覚だったのかもしれません。
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by sound-resonance | 2016-02-09 20:36 | 音・色あれこれ | Comments(0)