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お金の音 その2

先日、帰宅途中、大阪城公園を横切ったら、とても人が多くて、日曜日だからというのもあるんですが、明らかに毛色の違う2種類の集団がある。1つは、なんだかぴかぴかした子ども連れのご家族。西洋のお姫様の格好をした女の子がやたらと多い。とはいっても、代々その家に受け継がれてきた、あるいは、手間ひまかけた一点もののドレス、みたいな格式はなくて、その場限りのイベント感満載な感じのドレスで、足下は微妙に普段使いの靴だったりして、外から見るとちょっとちぐはぐな感じもしたりなんかして、なんなんでしょう???って思っていたら、大阪城ホールで、ディズニーオンアイスが開催されておりました。
で、もうひとつの集団は、スマホを手に公園内を探索しておる様子の1人、あるいは少人数の集団。おお!これが「ポケモンGO」な人達か!!日曜日の昼下がり、私、社会現象を目の当たりにしてしまいました・・・(笑)全国各地の公演は、どうやら、ポケモンの森、みたいになってるようですが、大阪城公園って、どんなポケモンがいるんでしょうね。早くも、「歩きスマホ禁止」みたいな張り紙が出てましたが・・・公園は、街中よりは車の通りも少なくて安全とはいえ、あれだけ人がいたら、ポケモンの世界に没入しすぎるのは危険、くれぐれも事故のないようにお楽しみくださいね。

さてさて、先日文楽「金壷親父恋達引(かなつぼおやじこいのたてひき)」の話を書きました。前回は、自分の物欲を全肯定するような終わり方をしてしまいましたが(笑)この「金」にまつわるお話が実によく「黄色」の色のキーワードを表しているな、なんて改めて思ったりもします。
お金と引き換えに何かモノを買うと、モノはゲットできますが、その代わりにお金は消えてしまいます。でも、何かモノと交換しないうちはお金は「何にでも変換できる存在」に留まります。貯金をする時って、手に入れたいものが明確な場合もありますが、金左衛門の場合は「何にでも変換(変身)できる存在」っていうところに夢や希望を抱いているんでしょうね。この(現実、即物的な)夢、希望っていうキーワードはとても黄色っぽい(笑)
お金がふれあうちゃりちゃりという音を、仏の声とも言われる美声の持ち主、極楽浄土に住む「カリョウビンガ」の声より美しい音と表現した金左衛門。前回、お金に恋しちゃった金左衛門のことを「俗物の極み」みたいな書き方をしましたが、お金が好きすぎる故にドケチ生活をしている金左衛門の実生活ぶりが、裏を返せば「清貧」なのか!?みたいな風にも見えてきちゃうところが面白いと思います。仏陀その人も、元々は貴族の出身で、財産、地位、妻、子どもを投げ打って、悟りの道を目指しました。以前半分冗談半分本気で「仏陀って自己中だよね・・・(笑)」みたいな話をしていたことがあるのですが、悟りを開くという大願のために、彼が妻や子どもから離れたのは事実です。その強い意志、自分の中の中心にあること、そういったキーワードも黄色のキーワードになります。まあ、仏陀はすべてを手放し、悟りを得ましたが、金左衛門の場合は一見清貧に見える生活が「お金」に支えられているっていうところが根本的に違うんですけどね(笑)
お話の最後、金左衛門の元に金壷は戻ってきましたが、息子、娘を含んだ人は去っていきました。その孤独な様子さえ、井上ひさしさんはコミカルに描きました。この滑稽さ、おかしさ、笑いの部分も黄色を表現しているような気もするのです。

by sound-resonance | 2016-08-09 01:31 | 観る・読む・聴く