死にゆく星の旋律

南米チリの砂漠にある「アルマ望遠鏡」。史上最大規模の電波望遠鏡で、星や惑星の誕生、宇宙の誕生の歴史、生命の起源の謎を解き明かそうと、巨大なパラボラアンテナが何台も空に向かって設置され、空からの電波を受け止めています。このプロジェクトには、世界の21の国と地域がかかわっているのだそうです。

砂漠好きの私としては、66台もの巨大パラボラアンテナが、チリの砂漠で宇宙に向かって手を差し伸べている光景というのは、想像するだけでわくわくします。申し込みさえすれば、個人でも見学が可能みたいだし、いつかは行ってみたいなあ。

ま、それはさておき、そんなアルマ展望鏡がとらえた電波のひとつ、「ちょうこくしつ座R星」という星から送られてきた電波データをもとに製作されたのが、「ALMA MUSIC BOX」という作品。これは、電波データをオルゴール変換して、70個の周波数から70枚のオルゴール盤を作ったものなのだそうで、ここから70種類の星が奏でる音楽が生まれました。

「ちょうこくしつ座R星」は、はるか950光年先で、もうすぐ寿命を迎えようとしている星なんだそうです。星は、寿命が近くなると、どんどん温度が下がってきて、赤くなっていきます。どんどん比重も軽くなって、(太陽の8倍程度の「軽い」星であれば)そのうちに拡散して消えていくんだそう。
人間も、産道を通って、「赤ん坊」として生まれてきて、成熟し、老後は、どんどん赤ん坊返りをしていくような気がします。というのか、一度得た知識や社会的地位、お金、その他もろもろを手放して、もう一度何も持たずにやってきた赤ん坊のような状態ですっと消えていくのが一番幸せなのかな、と思ってみたり。
エジプトでも、冥界に行った人間の心臓はアヌビスが見つめる天秤にかけられ、片方に乗せられている羽と釣り合いのとれた心臓(魂)だけが楽園に行けたのだといいます。最後まで続くなんやかんやのこの世のしがらみや、いつ死ぬのかわからないが故のお金への執着や、いろいろ軽くなれない要素があって、実際に「羽より軽い」魂を目指すのはなかなか難しそうですが、私もはるか950光年先で死にゆく星のように、身軽になって死んでいきたいな、なんて思ったり・・・

話が若干逸れましたが、「ちょうこくしつ座R星」が死にゆく前に伝えてきてくれた最後(?)のメロディだと思うと、なんだかロマンチックで切ない感じがしますね。

そんな「死にゆく星のメロディ」を元に国内外のアーチストが制作したコラボアルバムが、「MUSIC FOR A DYING STAR」。11人のアーチストが、死にゆく星のために音楽を捧げています。

先日金沢に行った際に寄った21世紀美術館のライブラリーで、アルバムを視聴させていただくことができたんですが、11人それぞれが自由に「死にゆく星のメロディ」とコラボしていて、11通りのバリエーションがくっきりしていて、とても興味深かったです。中にはメロディだけ取って、自分がイメージする星の調に転調しました、みたいなものもあって、「転調するとは大胆な・・・」と思った曲もありましたが、そういうのもアーチストさんの感性ですもんね。

毎日暑くて、ちょっとうんざりしちゃいますが、壮大なスケールの星からのメロディを聞いていると、自分の部屋のスペースを超えて気持ちだけでも壮大な涼やかな気持ちになれますよ。サンプルもあるので、よろしければ聞いてみてくださいね。

→ALMA MUSIC BOX
→MUSIC FOR A DYING STAR
→アルマ天文台

台風9号が北上しているようです。関東方面のみなさま、どうぞお気をつけくださいね。
[PR]

by sound-resonance | 2016-08-22 22:22 | 音・色あれこれ | Comments(0)