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138億年の孤独

先日からアルマ望遠鏡のことばっかり書いていますが、その関連で宇宙関係の本、天体関係の本をいくつか読んでいて、面白い記述を見つけました。

多田将さんの「すごい宇宙講義」という本の中の一節。そのままではありませんが、要約してみると・・・・

「宇宙初期は、宇宙の温度が非常に高いので、光が物質と反物質を生み出し、物質と反物質が出会って光になりといった現象が繰り返される。が、宇宙が膨張して宇宙の温度が下がっていくうちに、物質と反物質を生み出すエネルギーがなくなっていく。物質と反物質が宇宙上でイコールであったとするならば、すべての物質と反物質は「光」のみが残り「物質(粒子)」は存在しなかったはずだった。
が、偶然にも、たまたま「物質」の方が「反物質」よりも多かった。その割合としては、10億1個の物質に対して、10億個の反物質というくらい。10億組のカップル誕生にあぶれた1人が取り残された感じ。宇宙全体で見れば1立方メートルあたり陽子が1個分くらいのわずかに残った「物質」がより集まって天体、太陽、(私たちの身体でさえも)目にみえる「モノ」が作られている。」 

とこんな感じ。

私、「10億個のカップル誕生にあぶれた一人」というフレーズにぐっときまして・・・(笑)著者の多田さんも書いていらっしゃいますが、あぶれたもの同士が適当につるんでいるのは、それなりに楽しい、でも、10億のカップルを目の当たりにして、自分だけ1人がぽつねんと取り残された状況って、なんだかとてつもなく孤独を感じてしまいそうですよね・・・・でも、このあぶれちゃった一人がいなければ、宇宙の誕生はなかったわけで、よくぞあぶれてくれました、と単純にうかうかしていただけかもしれませんが(笑)あぶれる勇気に拍手喝采したくなるような、妙な感情移入をしてしまったのです。

あぶれた一粒の粒子は、新たな仲間を求めて宇宙空間を旅して、やっとのことで、仲間を見いだし、星を作りました。創造への旅。孤独と創造は時にペアだと思います。そんな感覚は、宇宙が生まれた瞬間から、私たちの身体を含めた「モノ」の中に綿々と受け継がれてきた感覚なのかもしれません。

by sound-resonance | 2016-09-19 22:31 | 観る・読む・聴く