耳なし芳一さん

恐ろしく三日月の美しい夕暮れ時、仕事帰りに、近辺に住んでいて、複数の人からえさをもらって福々している野良の黒猫にあいさつに行ったら、当たり前のように膝に乗ってこられ、びっくりしました。(ちなみに私はえさをあげたことはありません)
ま、一瞬「ん、やるか!」みたいな決意めいた表情はしていたものの、いや、君、野良だよね!?そんなに警戒心ゼロでいいのか?とも思うんですが、猫も毛皮を着ているようで、寒いのかな。

一気に寒くなったので、紅葉も一気に進むかもしれませんね。

さてさて、先日「赤間神宮」について書きましたが、赤間神宮は、小泉八雲の怪談で一躍有名になった「耳なし芳一」の舞台になった場所でもあります。神宮内には芳一を祀る祠があり、木彫の芳一像がお祀りされています。

盲目の琵琶法師芳一は、暇な時に住職に琵琶を聴かせることを条件に阿弥陀寺(赤間神宮)に住んでいました。彼の語る「平家物語」は秀逸で、特に「壇ノ浦の戦いの段」が絶品であると評判でしたが、彼はある客人に請われて、壇ノ浦の戦いの段を夜な夜な語るようになります。毎夜ごとに、外出する芳一の様子を不審に思った住職が寺男に後をつけさせてみると、芳一は平家の墓の前で夜中座っていました。彼は、平家の亡霊達に請われて、夜な夜な壇ノ浦の戦いの段を語っていたのです。
亡霊達が「あの世」に芳一を連れ去ってしまうことを恐れた住職は、芳一の体中に般若心経を書き、亡霊達にいくら話しかけられても決して返事をしてはならないと芳一に言い聞かせます。その夜も、平家の亡霊は芳一を呼びにきましたが、般若心経の効力で芳一の姿は隠されており見えず、声をかけても返事がありません。亡霊の目の前には芳一の耳だけがありました。般若心経を耳に書き忘れていたので、耳だけが見えてしまったのです。亡霊は、「耳」をもぎとって、持ち帰ることにしました。
耳を亡霊達に持ち去られてしまった芳一はそれから「耳なし芳一」と呼ばれることになりましたが、彼の語る「平家物語」はますます評判となりました。

ざっくりいうと、そういうお話。おそらく「まんが日本昔話」やなんかでも取り上げられていると思うので、子どもの頃から知っているお話ですが、子どもの頃はものすごく怖かったです。当時は「平家」というところはあんまりピンときていませんでしたが、何せ、「耳」だけが見えていて、その耳を亡霊に持っていかれるというのが怖かった。ものすごく痛そうですしね・・・

舞台となった現場、赤間神宮の芳一をお祀りしてある祠の方も平家の墓の隣というのか、斜め前にあるので、ちょっと近寄るのに勇気がいる場所だったりもします。
しかも、センサーが働くのか人が近くに寄ると「平家物語」の語りのテープが流れるので、心の準備がないままにいきなり「祇園精舎の鐘の声~」とかうなられると、飛び上がりそうにびっくりします。私は朝の8時ごろにお参りしたので、朝の気に助けられましたが、あの場所は、夕方に行くと怖いだろうなああ。。。。。朝お参りされることをおすすめします(笑)ま、慣れてしまうと、木彫がお祀りしてある祠っていうだけなんですけどね。

でも、いきなり感満載の「平家物語」の語りのテープを聴いていて、改めて、全編は聴いたことがないよなあ、と思い当たりました。最近特に思うけれど、知った気になっていて実は詳しくは知らないことっていっぱいあったりしますね。さすがに祠の前で全編を聴くのはやっぱり怖かったので(なんせ近くにお墓があるんだもん・・・(笑))途中で立ち去ったんですが、琵琶の音もさることながら、尺八の音がいい感じにからんでいて、でもやっぱりメインは「語り」なんだよなあ、と改めて思いました。日本の音楽ってやっぱり人の声、語りなしには成り立たないんですね。機会があれば、平家物語もまとめて通しで聴いてみたいな。

祠の写真はなんとなく怖くて撮れなかったので、代わりに下関の氏神様「亀山八幡宮」のふぐの写真を載せておきます。みなさまに「ふく」が届きますように(笑)

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by sound-resonance | 2016-11-05 21:09 | 音・色あれこれ | Comments(0)