しのぶれど

少し前になりますが、中之島に秋咲きのバラを見に散歩に行った際にひときわ人気を集めていた?バラがありました。ちょうど咲き具合が絶妙の見頃だったこともあるかもしれませんが、「あ、この花かわいい」といって、道行く人が目を止めていたのが、このバラ。

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「しのぶれど」という名前です。

「しのぶれど、色に出でにけり、わが恋は、ものや思ふと人の問ふまで」

「心に秘めていたつもりだったけれど、知らず知らずのうちに、表情に出てしまっていたようだ。恋わずらいでもしているのですか?と人に聴かれてしまうくらいに・・・」

「しのぶれど」というと、この句が自動的に口について出てくるという方も多いのではないでしょうか。百人一首のひとつですね。ここで「色(いろ)」という言葉が「表情、顔色」の意味で使われていますが、「いろ」というのは、元々は血族関係を表す名詞に付いて、母親を同じくする、または母方の血のつながりがあるという意味を表す言葉だったそうです。すなわち「いろせ=兄」「いろね=姉」といったように。それが転じて女性の美しさをたたえる言葉となったのだとか。今では、女性だけでなく、男性の魅力をたたえる言葉にも使われていますね。いずれにせよ、「いろ」という言葉が、「つながり」という意味を含んでいたというのは面白いな、と思います。思い人と「つながりたい」という気持ちそのものが「色」なんですね・・・。

ひた隠しにひた隠しにしているつもりだったのに、人から「恋してんでしょ?」って聞かれてしまった・・・ああ、どうしよう、そういう焦りとか照れ、みたいなものも感じてしまう取り様によってはかわいらしい句だな、なんて思うんですが、この句って、男性が詠んだ句なんですよね。平兼盛、当時から有名な歌人だったようなので、他にもたくさんの句を詠んだんでしょうが、この句だけが突出して有名になったのも、そのかわいらしさというのか初々しい感じに共感する人が多かったからかもしれません。

それにしても、このバラに「しのぶれど」という名前をつけた人ってどんな人なんでしょうね・・・?たぶん、男の人だな・・・(笑)「秘めた感じ」「秘密な感じ」ってこの方にとっては紫色だったのですかね・・・・歌の中の主人公の「思い人」がどんな方なのかはわからないけれど、高貴な人、雅な人っていう雰囲気が漂っているので、そんな「紫」なのかもしれません。もしかすると「叶わぬ恋」だったのかも・・・、なんて妄想がどんどん膨らみます・・・・(笑)


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by sound-resonance | 2016-11-23 19:34 | 音・色あれこれ | Comments(0)