ガラスの動物園と青いバラ

先日紹介した「しのぶれど」は、薄い紫色のバラでしたが、天然のバラには「青いバラ」というものは存在しません。そのため、「青いバラ」は「不可能」という花言葉を持つほどなのだとか。
そもそもバラは「青い色素」というものを持たず、青いバラを産み出すために、数々のバラ愛好家達が、チャレンジを重ねましたが、その方法は、バラから「赤い色素を抜く」という方法のため、交配技術だけでは限りなく青に近づいても、どちらかというと「紫」みたいな色が限界みたいです。
今では遺伝子操作技術を駆使して、パンジーの青い色素を利用した「青いバラ」が開発されているようですが、それでも、「完全な青色」にはなりきっていないようです。

「青いバラ」というと、山岸凉子さんの「ブルーロージズ」という漫画を思い出します。テネシーウィリアムズの戯曲「ガラスの動物園」をモチーフにした作品ですが、恋に奥手なイラストレーターが主人公になっています。

「ガラスの動物園」に出てくる主人公、ローラは引っ込み思案で家にこもりがちな女の子。ガラスのユニコーンを大切にしています。娘の行く末を心配した母親が息子(ローラの弟)に友達を夕食に連れてきなさいといって連れてこられたのがジム。しかしながら、このジムは、ローラが学生時代密かに恋心を抱いていた男性でした。

「ブルーロージズ」とは、主人公のローラが胸膜炎にかかって学校に休んでいたことを「胸膜炎(プルーローシス)」と「青いバラ(ブルーローシス)」を聞き間違えたジムがそれから彼女のことをそう呼ぶようになったことから出てくる言葉。「胸膜炎さん」って呼ばれるのはまっぴらだけど、「青バラさん」って呼ばれるのはなんだか素敵ですよね。実際、ローラもそう呼ばれることを喜んでいました。

そんな思い出話をしながらジムにどんどん打ち解け、惹かれていくローラ。でも、ジムには既に許嫁がいたのでした。

山岸凉子さんの作品では、恋に奥手なイラストレーターが、2歳年下の出版社の担当になった彼とつきあい始めるところからストーリーが始まります。だんだん彼にのめり込んでいく主人公。しかしながら、だんだんと会える日が減ってきて微妙にすれ違いの日々が続く中、とうとう彼が二股をかけていることが発覚します。前につきあっていた彼女と別れた後、主人公とつきあうようになったと主張する彼。しかしながら、その別れたはずの元カノは妊娠していて、主人公には勝ち目はないのでした。まあこんな風に書いてしまうと身もふたもないんですが、ま、ざっくりいうとそんなお話。

恋に奥手なのは、自分が傷つくのが怖いからだ、と作品では述べられています。ま、傷つくのは誰しも怖いですよね。しかし、愛されることで自信を持つことで初めて人は自分を愛することができ、それは同時に人をも愛することができるようになるということなのだ、とも言っています。

主人公は愛を失いましたが、そのことに気づかせてくれたのが彼であることに気づいて初めて、新しい恋に踏み出す準備ができたのでした。

私がなぜこの話が思い出深いかというと、似たような経験をしたことがあるからです・・・詳しくは書きませんが、あれはつらい経験だったなぁ・・・・(遠い目)青い大きなバラの花束をくれた彼が、私の元から去っていった後、この作品を読んで、なんともいえない複雑なというか、つらいというか、ショックを覚えたのを記憶しています。いただいたバラが赤でもなくピンクでもなく、黄色でもなく、ありえないはずのブルーだった(着色してあったわけですが)というのがなんともいえず・・・・ま、その分大人の翳りが出ていればいいんですけどね・・・・・うーん、出てないか・・・残念!(笑)

というわけで青いバラの花束はいくら美しくても、もううんざり、なんですが、それ以外のバラの花束はいつでも大歓迎ですよ(笑)


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by sound-resonance | 2016-11-25 19:38 | 観る・読む・聴く | Comments(0)