リボンの騎士と初音ミク

宝塚にある「手塚治虫記念館」で開催されている「初音ミク×手塚治虫展ー冨田勲が繋いだ世界ー」をみてきました。

冨田勲さんというと、私にとっては新しい音を求めて、シンセサイザーをいち早く日本に紹介し、クラシック音楽をシンセサイザーの音で表現した人。20歳頃まで電子オルガンを習っていたこともあったのかもしれませんが、オーケストラが奏でる古典的なクラシック音楽よりも、むしろ最初に積極的に意識的に聴いたのは、冨田さんの電子サウンドによるクラシックの方だったかもしれません。「展覧会の絵」とか「はげ山の一夜」とか、宇宙的な広がりを感じさせる電子音が奏でるクラシックをわくわくどきどきしながら聴いていたのを覚えています。

1990年代の日本の歌謡曲界に一大ムーブメントを起こした小室哲哉さんも、冨田勲さんの電子音楽に大きな影響を受けたのだとか。

以前かのスティービーワンダーが姫路の妙珍火箸の音色を「東洋の神秘」だとほめ称えたという話を書いたような気がしますが、スティービーワンダーも、冨田さんのファンで、冨田さんが、妙珍火箸の音色を楽曲に使用していたところから、妙珍火箸のことを知ったようです。シンセサイザーの音色の「新しさ」だけではなく、新しい音に対する探究心が半端ない方だったんだろうな、と思います。

2012年には、宮沢賢治の世界観を音楽で表現した「イーハトーヴ交響曲」の中に「初音ミク」を登場させました。

「初音ミク」というと、歌詞とメロディーを入力して「歌」を歌わせることのできるソフトおよび、キャラクター。商用目的でなければ、誰でも肖像を使用していい、というところから、ニコニコ動画などで、プロアマ問わずクリエーターが創作した「初音ミク」が歌う動画がアップされたことで、爆発的な人気が出ました。パッケージに描かれている「初音ミク」は6頭身くらいですが、2.5等身の「はちゅねミク」などの2次創作キャラも生まれました。今では2次元の世界を飛び出して、3次元の「初音ミク」がコンサートを行ったりしていて、初音ミクの活動範囲はどんどん広がっています。

「初音ミク」については、面白いなあと思ってこのブログでもいつか取り上げたいと思いながら、切り口が難しくてなかなか手が出せずにいたんですが、今年10周年を迎えるんだそうです。そうか、もう10年もたっちゃったんだなあ・・・・発売当時の彼女の年齢は16歳。でも、バーチャルアイドルだから、10周年を迎えても、永遠の16歳ですね。

常に新しい音の可能性を探し求めた冨田勲さんは、初音ミクに宮沢賢治の妹、トシのイメージを重ねたのだそうです。

「ミクを見ていると、賢治の世界から出られぬまま逝ったトシの哀しみをつい思ってしまう」そう、冨田さんは語ったのだとか。先ほどミクはバーチャルアイドルだから、永遠の16歳だと書きましたが、ミクの存在は、バーチャルであるが故に、永遠でありながら、どこかはかなげです。どこかの時点で時が止まってしまって、そこから先には行けない、でもだからこそ、永遠、みたいなそんなはかなさを、冨田さんはミクとトシに見たのでしょうか。

トシの面影を感じさせつつ、初音ミクはソリストとして、「イーハトーヴ交響曲」の中で歌い、踊ったのです。

そんな冨田さんのイメージと、手塚治虫って、最初は結びつかなかったんですが、冨田さんって、テレビドラマやアニメの主題歌、テーマ曲なんかもたくさん作っておられるんですね。手塚治虫作品のテーマ曲もたくさん手がけていて、例えば「リボンの騎士」、「ジャングル大帝」、「どろろ」なんかが冨田さんの手がけた曲なんだそうです。というわけで、さきほどの「イーハトーヴ交響曲」の中でも、初音ミクが、リボンの騎士に扮して、リボンの騎士のテーマ曲も歌っています。

展覧会の方では、初音ミクが歌う「リボンの騎士」の3D映像を見ることができます。初音ミクというとツインテールがトレードマークですが、リボンの騎士バージョンでは髪の毛を後ろにひとつにまとめてます。こういう初音ミクもけっこうレア、かも。

現代のイラストレーターさんが、初音ミクを手塚治虫さんの各作品の中に登場させたイラスト、も面白いですよ。

小規模な展覧会なので、それだけを見に行くにはちょっと物足りない感じもあるんですが、周辺の飲食店とのコラボで、初音ミク(ファミリー)をイメージした飲み物、スイーツ、ご飯もあったりするので、そういったものも楽しみがてら、行ってみるのもいいかもしれません。また、これは常設ですが、手塚治虫さんの作品を読めるライブラリーコーナーもあるので、手塚作品一気読みのいい機会かもしれませんよ!?

ちなみに、展覧会は一部をのぞき、撮影OKです。私はその日、スマホを忘れちゃって写真が撮れませんでしたが(泣)、行かれる際にはスマホを忘れずに(笑)

「初音ミク×手塚治虫展ー冨田勲が繋いだ世界ー」10月23日まで



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by sound-resonance | 2017-08-05 20:46 | 観る・読む・聴く | Comments(0)