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幸せの国

先日「怖い絵展」のことを2回続けて書きました。行った時、チケット売り場に長蛇の列ができていたので、並ぶ気になれず、同じ館で開催されていた「ブータン展」を見たという話を書きましたが、今日はその「ブータン展」について少し書こうと思います。

ブータンというと、2011年に現国王がご結婚され、訪日された時にも話題になりましたが、「国民総幸福」という概念で有名ですね。「国民総生産」ではなく、「国民総幸福」。無理な発展、開発を推進せず、自然に寄り添いながら、国民の幸せを追求していきましょう、そんな概念でしょうか。2005年の国勢調査では、国民の実に97%が「幸せ」と答えたんだそうです。すごい。97%、そうそう出る数字じゃございません。逆に残りの3%の方の心境が気になりますが、一体何があったんだろう・・・(笑)

国民の幸せ度を象徴するかのように、ちらしには、黄色、オレンジを基調に、タイトル文字にピンクが使用されています。黄色、オレンジ色って、チャクラでいうと、胃腸のあたりの色ですが、お腹が満たされている感じ、そこから満ち足りた感じ、満足を想像させる色ですね。今回の展覧会は、そんなブータンと日本の外交関係樹立30周年を記念したものなんだそうです。30年、なんだか意外な感じがしますが、ブータンは長い間鎖国制度をとっており、外交に乗り出したのはここ数十年のことみたいですね。

政治の方も、長い間絶対君主制で、立憲君主制に移行したのは2008年のことなのだそうです。インターネットの解禁も2000年からで、それまでは個人の利用は禁じられていたのだとか。こんなことを聞くと、自由経済、ばりばり資本主義の国で生活していると少々不便さ、窮屈さを感じてしまいそうな感じもしますが、制約の中の自由、バリエーションの豊かさ、楽しさ、みたいなことを感じたりもしたのでした。

例えば、ブータンの民俗衣装。男性は「ゴ」、女性は「キラ」というのだそうですが、伝統文化、産業を守るため、職場や学校など公の場では、着用が義務づけられているんだそうです。服装まで決められちゃってるというのは、一見窮屈だな、という感じもあるんですが、ここで、普段から和服を愛用している友人の言葉を思い出しました。彼女曰く、着物は何を身につけたらいいか、その枠がきっちりしているから楽なのだ、と。洋装は、例えば、帽子をかぶるのかかぶらないのか、スカートにするのかパンツにするのか、はたまたワンピースにするのか、靴はハイヒール、ローファーどっち?みたいな「枠」のバリエーションが無限大にあって、決めきれないと。

なるほどなあ。枠があるからこそ、その中で存分に遊べる、自由になれる、みたいなことはあるのかもしれませんね。
会場には、キラに使用される各地方の織物がたくさん展示してありましたが、どれもカラフルでとても綺麗です。
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伝統的な柄、昔から変わらない柄の他に、織り手によって新しい柄がどんどん創作されているんだそうです。女性の民俗衣装であるキラは、長い布を身体に巻き付けるもので、ちょっとインドのサリーにも似た感じですが、長さ、幅、着用方法などが統一の中で、どんな柄と柄を組み合わせるのか、みたいなところがおしゃれさんの腕の見せ所なのかもしれませんね。
民俗衣装をまとった、国王と王妃様。美男美女ですね〜
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ちなみに、国王のかけている袈裟?の黄色は国王にしか許されない色なのだとか。この辺りは、お隣の国中国の影響も感じますね。ちなみに庶民は白い袈裟を身につけるのだそうです。その他、袖の折り返しは、国王は庶民より深めに、袈裟に隠れていて見えませんが、「ゴ」の丈も、国王のみが膝下の丈を許されるのだそう。そういった身分の区別には厳格なようですね。
展覧会の出口付近に、「幸せとは今の自分に満足することなのです」みたいなメッセージボードがありました。足るを知る、うーむ・・・。

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それにしても、「怖い絵展」と「しあわせの国展」、どんな組み合わせやねん・・・(笑)


by sound-resonance | 2017-08-23 20:52 | 観る・読む・聴く