人気ブログランキング | 話題のタグを見る

マリーナさんのホロスコープ

新潟にある「夢の家」に宿泊してから、夢の家もさることながら、その作者であるマリーナ・アヴラモヴィッチさんのことににわかに興味がわいた私。私が知らなかっただけで、彼女は世界的なパフォーマンス・アーチストで、かのレディ・ガガも彼女を敬愛しているのだとか。そんな方の作品が、日本の新潟にあるというのもなんだかすごいことですね。私さりげにすごい場所に泊まっちゃったわ・・・・知らないって、怖い・・・(笑)
ま、それはさておき、今日は彼女のホロスコープについてちょっと書いてみたいと思います。

彼女の生年月日は、1946年11月30日。太陽星座でいうと射手座ですね。生まれた時間がわからないので、正確にはいえないですが、月星座としては水瓶座だと思います。

彼女の母親は軍人だと以前書きましたが、彼女にとっての母親とは、守り育てる母というよりは、同志、横並びのフラットな関係だったかもしれませんね。武器を含め、メカニックなものにも、小さい頃から慣れ親しんだ環境だったかもしれません。個性的でありたい、人とは違う存在でありたいという気持ちが強い、自立的な子どもだったのではないでしょうか。

特徴的だな、と思うのは、獅子座の冥王星と土星がコンジャンクションしていること。いろいろな読み方があるとは思いますが、こう、極端に自己表現に厳格である様子、極端に厳格な人物の強い影響、みたいなものを感じます。それが、射手座の太陽、火星と60度(トライン)の角度を取っています。ここで彼女が持つ圧倒的な宗教的背景を読み取ることができるような気がするのです。

夢の家で過ごすためには、厳格な儀式があり、宿泊者はそれに従わなければなりません。それを窮屈だと思う人も多いらしく、例えば火気厳禁とかお風呂では石けん類を使わないとか最低限の「絶対守るべきこと」以外は「守っても守らなくてもいい」というところまで緩やかになっているようです。でも、作家本人の意図としては、「そうあるべきこと」であって、その儀式にのっとることで、生活すること、生きることが際立ってくる、みたいな感じがあるのではないか、と思ってみたりもします。

次に特徴的だな、と思うのは、さそり座の木星、金星、水星がコンジャンクションしていること。深くつながること、深い情感、捨て置かない感じ。なんだろう・・・信頼を勝ち取るのに、時間がかかるけど、いったんつながれば一生面倒を見てもらえそうなそんな感じです。ただ、嫉妬も激しそうではありますが・・・(笑)

夢の家のインストラクションの部屋、最初に家についての説明を受ける部屋の机の上には、24個の水の入ったガラスのコップが置かれています。
マリーナさんのホロスコープ_a0155838_14150227.jpg
これは、この家が「24間」ありますよ、ということを表しているんですが、同時にこの土地が昔から水に恵まれ、水を大切にしてきたことをも表現しているのです。夢の家がある「上湯」地域は温泉(源泉)の上に位置し、つい最近まで水道が通っていなかったんだそうです。人々はわき水で暮らしていたんだそうで、水道の通った今でも、家庭ではわき水を利用しているのだとか。

マリーナさんは、上湯地域の「水」との関わりに深く感銘を受け、この場所に「夢の家」を作ることを決めたのだそうです。
ちなみに上湯地域下方にある「松之山温泉」は、地殻の隆起運動によって閉じ込められた千に百万年前の海水がマグマによって温められ、地層の断裂から一気に湧出る「ジオプレッシャー型温泉」といわれていて、そのような形の温泉は日本ではとても珍しいのだそうです。

その地底に眠っていた古代の海水がわき出してきた感じも、地下に豊かに水が眠っている感じもなんだかさそり座っぽい(笑)彼女が深い感動をこの地に感じたのでしょうね。

その木星、水星、金星のさそり座が、獅子座の土星、冥王星、水瓶座の月と、それぞれ90度(スクエア)の角度を取っています。
彼女の深い情感は、なかなか素直に外に出す、表に見せることが難しい、どうしても、自分の感情よりも、人との公平さを優先、あるいは、人に対しては強がってしまうようなところがあるのではないかと思います。それでも、彼女が求めているのは、人との深いつながり、1対1の深いコミュニケーションなんですね・・・

彼女の10個の天体の中には、火、風、水の要素がバランスよくありますが、土の要素が1つもありません。彼女が表現方法としてパフォーマンスアートという方法を選んでいることがこの辺りからも見てとれるな、という感じがします。彼女の中には「残す」「維持する」ということに対する興味はほとんどないのです。一瞬一瞬リアルな瞬間だけが本物、彼女にとってはその場その場のパフォーマンスこそがアートの形なのです。

そう思えば、彼女が第1回目の「大地の芸術祭」に参加したというのは、彼女の経歴にとってとても異質なことのようにも思えます。

彼女は書いています。

「プロジェクトは『大地の芸術祭』のためにつくられた。だが、本当に信じられないことが起こったのだ。『夢の家』の集落の住民たちが、その家を自分たちのものとして受け入れ、その世話をし続け、『夢の家』が彼らのコミュニティの一部となったのである。作品がアートというコンテクストから出て、現実の生活に入っていったのは、私にとって初めてのことだった。」

上湯の人たちにとって、マリーナさんはまさに客人、遠くからやってきた「稀人(まれびと)」でした。彼女は、住民に彼女のコンセプトを説明し、夢の家を作りました。そして、彼女は去りましたが、彼女が持たない「地」の部分を上湯の住民達が補う形で、夢の家は今もコミュニティの一部として、夢を見るためにやってきた旅人、あらたな「稀人(まれびと)」達を受け入れているのです。


by sound-resonance | 2017-09-13 20:11 | 星読み