カテゴリ:音色物語( 7 )

ビッグバンの音

宇宙は、始めから今のような存在ではなく、とてつもなく高密度、高温、高圧の固まりだったものが、相転移によって、膨張したところから始まったというビックバンの理論は、宇宙マイクロ波背景放射(CMB)の発見によって、裏付けのある定説として受け入れられるようになりました。で、宇宙マイクロ波背景放射って何やねん?ってとこなんですが、天文学者マーク・ウィットルさんによると「宇宙には様々な形態の薄い気体が充満しており、かなり混沌としています。気体に力が加わると、気体を媒体として音波が伝播します。音の正体は気体の振動で、気体はそこら中にあるため、それが振動して波を作り出します」ということらしい・・・・・・・。え?宇宙って、真空で「無音」なんじゃないの?と思ったりするところなんですが、ビックバン直後の宇宙には、様々な気体が充満していて、「音波」が伝播する環境があったんですね。
この宇宙マイクロ波背景放射(CMB)は、1965年に初めて検出されたんだそうですが、画像が供給されるようになったのは、1990年代になってからで、2003年にNASA WMAP(ウィルキンソンマイクロ波異方性探査)衛生がCMBの極めて詳細な画像を提供しました。そこからは、CMB内の温度の「ゆらぎ」を確認することができます。温度にゆらぎがあるということは、物質の密度に「ゆらぎ」があるということ、そして、密度にゆらぎがあるということは、重力によって物質の速度の分布にも「ゆらぎ」があるということで、それは、音波に相当するのだということ。すなわち、宇宙は、ビックバン以降様々な音を奏でながら、膨張し、膨張していくうちに、宇宙内の気体の濃度も薄くなり、宇宙の音の響きも変化していきました。

さてさて、その2003年にWMAPから提供された観測データを元に、「ビッグバンの音」をコンピューターで再現した人がいるのだそうです。物理学者のクレーマー教授は、11歳の男の子の自由研究で「ビッグバンの爆発音を聞きたい」というリクエストに応えて、WMAPの観測データから、宇宙の始まりから数十万年の音を早送りにして再現したんだとか。

ビックバンの音
ビッグバンの音その2

宇宙の奏でる音は、「音波」といっても私たちの可聴範囲よりは、はるかに低いので、可聴範囲に変換されたものではありますが、段々音が低くなっていくのは、宇宙が膨張していく様を表しています。

必ずしも私たちの耳に心地よい「音楽」ではないにせよ(笑)、天体も私たちの世界に存在する音楽のように、音を奏でているという「天球の音楽」の考え方もあながち間違えではないような気がします。そうすると、「はじめにことばありき」の神話の世界も、古代の人は直感的に真理を感じ取っていたのかもしれませんね。
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by sound-resonance | 2016-01-22 22:51 | 音色物語 | Comments(0)

ブラックホールの音

地球からはるか2億5000万光年離れた「ペルセウス座銀河団」の中心にあるブラックホールは、音を奏でているのだそうです。NASAのエックス線観測衛星チャンドラが、銀河団中のガスがさざ波のようになっているところを写しだしたことから、ブラックホールから音波が発せられていることがわかったのだとか。

ブラックホールが奏でる音(音波)は、通常のCの音の57オクターブ下と、とても低くて、人間の耳ではとらえることはできませんが、音階でいうと、B(シ)にあたる音なんだそうです。サウンドレゾナンス的にいうと、Bは、マゼンタ色。ブラックホールというと、すべてを呑み込むなんだか怖い存在、みたいなイメージがありますが、マゼンタピンクを濃く濃くして、ほとんど黒にみえるような色だととらえると、とても興味深いです。マゼンタ色は、無条件の愛の色。一旦終わる場所であり、何かが始まる瞬間の場所、でもあります。宇宙の始まりも、これ以上ないっていう重たくて密度の濃いブラックホールがほんの少しのバランスのずれで爆発して、膨張を始めたのだとすれば、宇宙って、無条件の愛に満ちていて、それが今でも、膨張している様、なのかもしれません。そう思うと、なんだか素敵ですね。

ブラックホールから発せられる宇宙一の重低音
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by sound-resonance | 2015-07-04 20:24 | 音色物語 | Comments(0)

呼吸と三位一体のリズム

ヒンズー教の3位一体の神様、ブラフマー、ヴィシュヌ、シヴァ。ブラフマーが創造し、ヴィシュヌが維持し、シヴァが破壊する。そして、再び、ブラフマーが創造する。この3つのリズムって、人間の呼吸に似ています。息を吸って、キープして、出す。そして、再び吸う。その絶え間ない連続のリズムの中で、私たちは生きています。私達の人生は、小さな創造、維持、破壊の絶え間ない連続なんですね。

声も、吸った息(空気)が、声帯を通って吐き出される際に出る「音」です。普段人と会話している時には、それほど意識しないのですが、歌を歌ってみると、節と節の間に、息を「吸って」いることに改めて気づいたりします。私は例の「スナックカラオケ」で気づかされました(笑)早口みたいな歌とか、高音で声帯を締め付けるハイプレッシャーな歌やなんかは吸うタイミングをはずすと息切れして、酸欠でぶったおれそうになってしまいます・・・・(笑)ま、日常会話でぶったおれそうになるまで、弾丸トークする人は少ないでしょうが(笑)、無意識に、息は「吸って」るんですよね。

創造、維持、破壊の絶え間ないリズムの中で、私たちの身体に共鳴して生まれてくる音である声は、わたしたちそのものを表しています。サウンドレゾナンスは、そんなあなたをかいまみるツールとして有効ですよ。
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by sound-resonance | 2015-06-15 00:00 | 音色物語 | Comments(0)

聖なる音と三人の神様

インドで、宇宙の根本原理とされている聖なる音「オーム」。

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根源的な宇宙の音であり、そもそも存在している音。

ヒンズー教では、「オーム」の「a」「u」「m」がそれぞれ創造神ブラフマー、維持神ヴィシュヌ、破壊神シヴァの3大神を表しているとされているそうです。
そして、この3大神は、三位一体で、1人の神の3様の現れとしてあるのだとか。

現在では、三大神のうち、創造神のブラフマーを信仰する人は少なくなって、今は、維持神のヴィシュヌと、破壊神のシヴァが多くの信仰を集め、2大神と称されているというのは、なかなかに興味深いです。科学でいうところの宇宙の始まりであるビッグバンは、今から138億年前に起きたとされていて、今すでに「ある」世界を私たちは生きていて、その世界が少しでも平和に続きますようにと、維持神に祈りつつ、これから来るに違いない「終わり」に恐怖し、破壊神をあがめる。宇宙の根本原理の「始まり」は遠すぎて、現実味を持って感じることは難しいのかもしれません。でも、きっと、その「感じることの難しいもの」こそ、一番大事なものであり、だからこそ、「隠されているもの」なんでしょうね。
占星術でいうと、冥王星とか、蠍座のイメージ。見えてなくても、ちゃんとある、で、それを守る人達がちゃんといて、保たれている、みたいな・・・・。
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by sound-resonance | 2015-06-13 20:20 | 音色物語 | Comments(0)

マクロコスモス・ミクロコスモス

古代ギリシャの人々は、私たちの外側に存在する天体の動きが、私たち人間と呼応していると考えていました。私たちの中にも、小さな宇宙(ミクロコスモス)が拡がっていて、その動きは、外側の大きな宇宙(マクロコスモス)を観察することで、理解できる、と考えていたのです。西洋占星術は、まさにそんな考え方に基づいたツールだと思います。素粒子レベルまで分割された「科学」の時代にあってもなお、「星読み」の世界が、人々の間に息づいているのは、占星術が「当たる、当たらない」はさておいても、私たちが宇宙とつながっているという感覚を確認できるツールだから、ではないかと思います。理由はわからなくても、どこかで宇宙と呼応している感じを、意識しているかしていないかは別として、感覚的に感じ取っている人も多いのではないでしょうか。
この考え方でいうと、私たちの生活に「音楽」があるということは、宇宙もまた、音楽を奏でているということになります。古代ギリシャ人は、音楽には3つの種類があると考えていました。「宇宙の音楽」(ムジカ・ムンダーナ)、「人間の音楽」(ムジカ・フマーナ)、「器具の音楽」(ムジカ・インストゥメンターリス)の3つです。「宇宙の音楽」と「人間の音楽」については、常に奏でられているものの、人間の耳ではとらえることができず、人間が「聴く」ことができるのは「器具の音楽」だけだとされていました。器具の音楽は、いわゆる私たちが普段耳にしている「音楽」であって、楽器で奏でられる音楽の他、人間の声で奏でられる音楽が含まれます。

さて、以前宇宙の誕生について、少しだけ書いたことがありましたが、ビッグバンによって誕生した宇宙は、現在膨張し続けていると言われています。宇宙が膨張して、膨張して、もうこれ以上ふくらめないっていうところまできたら、どうなるのか。速度は、遅くなるかも知れないけど、宇宙はずっと膨張し続けるのだ、という説、これ以上無理っていうところまで膨張したら、その状態で均衡が保たれるという説、ビッグバンが起きる前の無次元の特異点(ビッグクランチ)に戻った上で再びビッグバンが起きるのだという説、実際には、誰も知らないことではありますが、いくつかの仮説があります。
でも、ミクロコスモス・マクロコスモスの考え方からいくと、宇宙は、ビッグバンとビッグクランチを繰り返すという説を支持したくなるのです。人間が息を吸って、吐くという呼吸のリズムを繰り返しているように、宇宙も、とてつもなく大きなスパンで、「呼吸」をしているのではないでしょうか。
今私たちが暮らしている宇宙は、138億年前のビッグバンによって誕生し、膨張をしつづけています。どのタイミングで宇宙が吸った息を「吐く」ことになるのかはわかりませんが、宇宙も呼吸しているって考えると、私たちと同じように、宇宙も「生きてる」って感じがして、俄然身近なものに感じられるのではないでしょうか。
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by sound-resonance | 2015-06-09 20:00 | 音色物語 | Comments(0)

ピタゴラス音律と平均律

私は、小さい頃ピアノから転じてヤマハのエレクトーンを習っていたので、自分で調律をする必要もなく、電子楽器なので、調律が狂うわけでもなく、そこにある「音」に対して、なんの疑問も感じていませんでした。鍵盤を押せば、音が出てくる。同時に押せば和音が出てくる、当たり前、みたいな。よく映画音楽とか、アイドル歌手の歌う曲なんかのポピュラーな曲をエレクトーンで演奏していましたが、「原曲」とは違う調に転調された曲を演奏するのにも、なんの疑問も抵抗もなかったし、アレンジをする時には、よく転調のテクニックなんかも使っていました。

が、しかし。

それって、平均律で調律された音階だからできる技、だったんですね~。(いまさら、かい!)
ピアノやキーボードなど、今現在使用されている鍵盤楽器は、1オクターブの中に、黒鍵含めて12個の「音」があります。もちろん音も周波数なので、1オクターブの中に無限の「音」の可能性はあるわけですが、この1オクターブの中に12個の音を定めて、その音の組み合わせで「音楽」が成り立っているわけです。でも、12個の音の幅(距離)をどうとるのか、には様々な方法があります。

例えば、ピタゴラス音律は、完全な調和(ハーモニー)を奏でる振動数3:2の比率の完全5度を重ねて作られています。でも、そういう作り方をしていくと、1オクターブとして出てくる音が約23.46セント(約1/4半音)ほどずれてしまうんですね。このずれのことをピタゴラスコンマといいます。
でも、1オクターブは、同じ音におさめたい、ということで、基音(と同じ音)を採用すると、コンマ分の幅(距離)がそこだけ短くなってしまいます。
基音はどこからでも始められるので、ピタゴラスコンマの位置は、自由に決められますが、コンマの出てきた位置の完全五度は、ハーモニーを奏でずうなりを生じてしまいます。ということは、そのうなりが出る五度は演奏では使えないわけで、演奏できる調は限られてしまうわけです。
そんなピタゴラスコンマを解消したのが、平均律(等分平均律)です。平均律では、1オクターブを均等に12等分してあります。なので、1オクターブの中にある音と音の幅(周波数の比)は全く同じ(2の12乗根)です。そうすると、極端なうなりを出す「使えない完全五度」はなくなって、どんな調でも演奏できるようになります。黒鍵盤の音ー例えば、C#とD♭ーも同じ音になります。でも、逆をいうと、どの完全五度も「完全」なハーモニーを奏でなくなっているわけですね。そのズレは、私たちの耳にはほとんど判別ができないくらいのズレで、ほとんど支障がないとして、現在では、平均律が調律の主流になっています。このおかげで合奏が容易になりました。ピアノとオーケストラのコラボっていうのも、平均律というルールの上で実現可能だったんですね〜。音楽がバラエティに富み、ポピュラーになっていくためには、そういったある種の「折り合いをつけること」も必要だったのでしょうね。あるいは、平均律採用から、音楽も「科学」に寄っていったといえるのかもしれません。

ピアノを平均律に調律する、その辺りの大変さを調律師本人がつぶやくように書き記しているのが「ピアノと平均律の謎」という本。タイトルの割には、謎はイマイチ解けませんでしたが(苦笑)ピアノにおいて、平均律で調律するのがいかに大変かということだけはわかりました。平均律って、フレット式の弦楽器では容易だけど、ピアノでは調律がとても難しいんですって。確かに、高校時代(エレキ)ベースを弾いていた時、ユニゾンと、オクターブの音のうなりをなくすことで、調律をしていました。それさえすれば、後はフレットの位置で、他の音はおのずと決まりますもんね。でも、ピアノの場合、完全5度、完全4度なんかを使いながら、オクターブ以外のひとつひとつの音のすべてを(厳密にいうと)「調和のない音」に仕上げていかないといけないわけですから、大変だと思います。逆にいうとだからこそ、調律師というプロが存在するのでしょうが。平均律というのは、調律のひとつにしかすぎなくて、新しい可能性がたくさんあるということを著者は本の中で述べています。「加減していない無限のハーモニーをもつ音階を本当に手に入れられるまで、楽器も心も進化させつづけていくことになるだろう」と著者は言います。著者のいうところの、ピアノにとって、自然な方向が見いだされ、それが当たり前になる時代がくるのかもしれませんね。 
                                 
「ピアノの平均律の謎ー調律師がみた音の世界ー」 アニタ・T・サリバン著 白揚社
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by sound-resonance | 2015-05-08 20:24 | 音色物語 | Comments(0)

宇宙の誕生

2014年の11月からブログを再開するまでの2年間、音って何だろう?色って何だろう?ということ、を文献をあたりながらずーっと考えていました。まずは、科学的なアプローチも必要かと思い、物理学の領域に足を踏み入れ、悪戦苦闘。なにせ、高校の理科の選択は生物と化学で、物理学ってなんだかものすごーく難しそう、というイメージのみ。「スイヘイリーベ、ボクノフネ」の元素番号表で覚えた元素は、原子の固まり(分子)でできているのだなあ、と、「理科」の知識はそこ止まり。
それはさておき。音は、波の性質、光は波と粒子の両方の性質を持っていて、光を「粒子」としてみていくと、量子力学の世界に突入していきます。何?原子って最小単位じゃないの?原子核と電子に分かれる??なんと!しかも、原子核はさらに陽子と中性子からできていて・・ってどこまでいくねん、小さすぎて、わからん!と逆切れ寸前のところ、一応、電子とか陽子、中性子より小さい単位っていうのは今のところなくて、物理学で扱う物質の最小単位っていうのは「素粒子」と呼ばれているみたいです(笑)
と、安心したのもつかのま、その素粒子が「点」ではなく、「線」であるという「ひも(弦)理論」があることが発覚。「点」はゼロ次元ですが、「ひも」だと1次元になるわけですね。で、そのひもが、常に振動していて、その振動の様(振動数の違い)によって、素粒子の種類ができている、ということらしい。「ひも(弦)理論」は、超弦理論へと進化し、超弦理論では10次元、超弦理論を統合するとされているM理論では、11次元を想定すると、理論的な正しさが証明可能なのだそうです。
私たちは、3次元+時間軸の4次元の中で生活しているので、10次元、11次元って一体何やねん?と想像もつかないわけですが(笑)、超弦理論でいうところの残りの6次元は、コンパクト化されて、私たちには「みえない」ということになっている、らしい。
そもそも、超弦理論は、相対性理論と、量子論を統合させるために考え出されたアイディア。相対性理論がマクロなことを扱うのに有効であり、量子論はミクロなことを扱うのに有効ではあるのですが、この2つの理論には、相反する部分があって、長年統合されないまま来ていたそうです。それを統合させる有力な説として、超弦理論があるのだそうです。
超弦理論があれば、宇宙の始まりとされている「ビックバン」も説明ができるそうです。
今は、理論的には正しさが証明できるという段階で、理論が一般的に認知されて、超弦理論が私たちの生活レベルまで応用されるまでには、まだまだ時間がかかるでしょうが、ごくごく小さな「弦」が振動することで、様々な音色を奏で、それが世界を作っているという考え方は、なんだか、わくわくしてしまいます。最先端の物理学が宇宙が音楽を奏でているという古代のギリシャ人の考え方につながっていくのはとても面白いです。

私たちの宇宙は真空の相転移(同じ物質が物質としての同一性を持ちながら、そのあり様を変えること)によって生み出され、それが「ビックバン」によって爆発的に膨張を始めたことから現在の形をとったと言われています。
ビックバン直後の宇宙の初期には、真空の相転移によって、物質(粒子)と反物質(反粒子)が作り出されました。物質と反物質が同量であれば、お互いに衝突し、光を発しエネルギーとして消滅してしまい、今のような「形ある」宇宙としては成立しません。ところが、どこかで何かの拍子で物質(粒子)と反物質(反粒子)の対称性が崩れ、わずかに反物質よりも物質の量が勝ったとき、まさに宇宙が存在するようになったのです。

宇宙の創造には、完璧な対称性が崩れることが必要だったんですね。

「音楽と数学の交差」(桜井進×坂口博樹著)の中には、こう書かれています。

「この『外なる宇宙』の原理はその中に内在するさまざまな小宇宙にも反映されています。人の心の『内なる宇宙』も対称性を根本としつつも、その破れにより深い拡がりを持つ豊かな精神世界を築いているようです。そもそも脳は、右脳と左脳という完全な対称性を持ちながら、その役割では対称性が破れて進化してきました。しかし対称性が破れすぎると、精神はバランスを保てません。
 音楽という宇宙も同じです。対称性を根源に持ちつつも、その破れにより豊かな多面性が展開されます。対称性の破れ方こそ、美の根本問題でもあるのです。これはあらゆる芸術に根源的nあことで、たとえば現代美術であるような、非常に抽象的で偶然性の高い作品でも、優れた作品であればそのランダムな造形や色彩が、対称性の破れによって現れた対称性の本質のように表出されます。そのランダムにこそ美の根源があるのです。どのようなかたちの音楽でも優れた作品であれば一聴のわかりやすさとは別に、本質的に同じことが言えます。」

ピタゴラスが考え出した12音階が今現在でも、音階の基礎として採用されています。ピタゴラス音律はピタゴラスコンマという「ズレ」を持っていて、私たちは、1オクターブの中で、様々な方法で、その問題に折り合いをつけてきました。でも、ピタゴラスコンマがそのズレを持っていたからこそ、美しい音階が生まれてきたのかもしれません。
いわゆる科学の発展によって、私たちは、古代ギリシャの時代よりも、宇宙についてずっと多くのことを知ることができるようになりました。そのうえで、やっぱり、科学は芸術と元々は同じ場所から出発していることが再び立ち現れてきているのではないかという気がしたりもします。もう一度、私たちの内側に拡がるミクロコスモスを意識し、マクロコスモスにつながっていく時代がやってきたのかもしれません。
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by sound-resonance | 2015-05-01 00:00 | 音色物語 | Comments(0)