笑った分だけ怖くなる、と、不安の音

その昔、上本町〜天王寺界隈には、小さな劇場がたくさんあって、一人芝居とか二人芝居やなんかの少人数でやるような舞台をたくさんやっていました。もちろん今でもお芝居は盛んなのかもしれませんが、そのうち、「近鉄小劇場」がなくなり、「近鉄アート館」がなくなり、私もしばらく舞台を見る機会がとんと減っておりました。
そこに、日本一の高さを誇る「あべのハルカス」が登場し、「近鉄アート館」が復活しました。わあ、懐かしい・・・・ということで、行って参りました。

見に行ったのは、「笑った分だけ怖くなる」、白石加代子さんと、佐野史郎さんの二人舞台です。

白石加代子さんといえば、「百物語」シリーズをライフワークのようにされていて、1992年以来20年以上をかけて、「怖い話」を語ってこられました。そのシリーズが、ついに、去年99話目の泉鏡花作「天守物語」で、ファイナルを迎えました。(百話目は、語ってしまうと、お化けがきちゃうから、99話で止めるんですね)で、これから、どうするんだ?という問い合わせが殺到したのだそうです。で、企画されたのが、この二人芝居。
朗読劇のスタイルでお話が進行していきます。
「百物語」の時もそうだったけど、白石さんの舞台って、ただただひたすら怖い・・・・!っていうんじゃなくて、とっても面白いです。動作がコミカルでチャーミング。でも、怖い(笑)その「おもこわ」な感じが独特の口調で語られていきます。近鉄アート館って、こじんまりしていて、お客さんと舞台がとても近いので、ものすごい一体感。佐野史郎さんも、大阪は久しぶりで、若かりし頃、近鉄小劇場の舞台に立っておられたということで、白石さんも、百物語を最初の頃はずーっと近鉄アート館で公演されていたので、お二人とも、感慨深いものがあったようで、ちょっとアドリブな部分があったりして、その部分もなんだか、小劇場ならでは、な感じですね。

ま、それはさておき、このブログは、一応「音と色」をテーマにしているので(笑)その部分について書くと、2つめのお話小池真理子作「妻の女友達」の中で、使われていた効果音が印象的でした。確かFかF#あたりの音だったと思います。あらすじを書くとネタバレになっちゃうので、詳しくは書きませんが、登場人物の夫の方の平穏な毎日のペースが崩れ、日常生活に不快感が混じり、かすかな緊張と、不可解な不安がおそってくる場面に、ッーと流れる無機質なF音。不吉・・・・・「絵に描いたような」小市民な男の不安な胸の内を表しているようで、実に効果的でした。

そういえば、映画「ジョーズ」の中で一番有名な(実は私、ストーリーは知りません(笑))、サメが忍び寄ってくるシーンの「ダーダン、ダーダン」も、E.F.E.Fの音ですね。ちょうど、お腹からハートにかけて響いてくる音、緊張と不安をかきたてるのに、とても効果的な音です・・・・・・・・音って、場面と使い方によって、ネガティブにもポジティブにも働きかけてきます。

人生には、緊張と弛緩、どっちも必要。恐怖と笑いは紙一重。そのどちらをもこれでもか!っていうサービスっぷりで味あわせてくれる舞台「笑った分だけ怖くなる」次回が楽しみです・・・・・
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by sound-resonance | 2015-05-14 20:32 | 観る・読む・聴く | Comments(0)