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エリックサティ展

さて、無事モンゴルから、日本に帰国した私でありましたが、飛行機の到着地が成田だったため、ついでに東京見物でもするか、ということで、(意外に元気ですね・・)渋谷は、bunkamuraミュージアムで開催されていた「エリック・サティ展」を見に行ってきました。

サティを知ったのは、確か高校生の時だったと思います。当時吹奏楽部の部員だったんですが、同じクラブの中の誰かが、ピアノで「ジグノペディ」を弾いているのを聞いていた同じクラブの誰かが、「幼妻・・・」ってつぶやいたのが、今でも鮮烈に、耳に焼き付いています(笑)なぜ?なぜに、幼妻!?よくわからんイメージなんですが、それ以来ジグノペディを聞くと、幼妻っていう言葉もセットで出てきちゃいます・・・・・(笑)うーん、まあ、なんとなく、背徳感とか、けだるい感じとか、切ない感じとか、そういうことを表現したかったんでしょうな、ま、まるっきりわからない、っていう訳でもないけど、実際のサティの意図と「幼妻」は何の関係もありません(笑)

さてさて、それはさておき。

という訳で、サティというと、「ジグノペディ」のあのもの寂しげな、でも、繊細で美しい音楽くらいしか、よく知らなかったんですが、いろんなこと、やってる人なんですね〜。
モンマルトルの「黒猫(シャット・ノアール)」でピアノを弾きながら、ジャンコクトーや、ピカソなんかと一緒に劇(「バラード」)を手がけたり、ペラダンに彼の主宰する「薔薇十字教団」の聖歌隊長に任命されて、十字団のための楽曲を作ったり。ペラダンとの関係は、2年ほどで終わったみたいですが、ペラダンは、熱狂的なワーグナー信者だったといいます。サティ自身は反ワーグナー派で、現存する彼の楽曲を聴いても、ワーグナーとの共通点ってこれっぽっちも見いだせないような気がするんですが、ペラダン、サティのどこに「ワーグナーっぽさ」を感じたんでしょうね!?
サティ自身は、作曲家ではありますが、常に視覚的なものに、重きを置いていた作曲家だったそうで、写真家のマンレイは彼のことを「眼を持った唯一の音楽家」と呼んだそうです。画家との交流も多く、「スポーツと気晴らし」という作品は、シャルルマルタンの挿絵あっての総合的な芸術(本)として出版されました。サティは序文でこう書いています。「このたび、刊行した作品は、2つの芸術ジャンル、つまり素描と音楽から成り立っている。素描の方は線ー機智にとんだ言葉ーで表されていて、音楽の方が点ー難点ーで表されている」しかも、面白いな、と思ったのは、五線譜の方に、「言葉」が仕込んであること。この言葉は、曲の演奏中に朗読されてもされなくてもいいものみたいですが、音楽の形式を基本にしながら、「表現すること」に自由でどん欲であったサティの姿勢がかいまみれるような気がします。
サティの持つ独特の軽さ故に「大家」みたいな扱いはされず、「異端」「変わり者」ポジションではありながら、その実、新しい種をどんどん時代に植え付けていた人だったんですね〜。

略歴のところに生年月日があったので、ちょっと星読みをしてみました。
1866年5月17日生まれ。太陽星座としては牡牛座、なので、自分の五感を信じる、基本的には美的な感覚に優れていた方のようです。牡牛座だけだと、そんなにエキセントリックな感じにはならないと思うのですが、面白いのは、木星は水瓶座の位置にあって、太陽(牡牛座)と60度の関係にあること。彼の美的感覚が、新しい時代の方向に向きやすかったのはそんな配置からだったのかもしれません。また、火星と海王星が寄り添っていて、牡羊座というのも、面白い。後先考えない衝動的なケンカっぱやさっていうのがあったんじゃないでしょうか。金星が双子座なので、常に新しいことに目がいく感じも出ていますよね。ユトリロのお母さんである、シュザンヌ・バラドンとの恋愛以外は女嫌いで、生涯独身だったそうですが、どうかなあ、自分の中の目移りの多さを女性に投影していた部分もあったのかも。土星が蠍座にあるので、深く入り込んでいくことへの抵抗感と憧れのアンビバレントな感情もあったのかもしれませんね。それが、神秘主義(薔薇十字教団)への一時的な加入にもつながったのかも。

まあ、プロフィールを知った上での後追いでしかないのですが、星の位置って、その人によって、ホントにそれぞれ個性的で、その人自身を表現しているのがとても面白いです。

図録には、CDがついています。11曲のサティの楽曲が聴けるけっこう本格的なCDですよ。

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8月30日で、bunkamuraでの開催は終了しましたが、9月12日〜11月1日まで浜松市美術館に巡回しているようです。興味のある方は是非どうぞ♪

by sound-resonance | 2015-09-20 20:45 | 観る・読む・聴く