カリスマ声とパイプオルガン

中村明一さんの「倍音 音・ことば・身体の文化誌」という本を読んでいます。まだ読みかけなんですが、倍音の説明から始まって、日本人と西洋人の音感覚、言語の違い、音楽の違いについて書かれていてとても面白いです。
日本と西洋の音、音楽の違いについても、追々ご紹介したいと思いますが、倍音にまつわる面白い話題があったので、まずはそちらをご紹介。

私たちがおしゃべりをしたり、歌ったりする時に出している「声」は、単一の周波数から成り立っているのではなくて、いくつもの周波数が重なり合ってできています。サウンドレゾナンスでボイスプリント(声紋)を録っても、たくさんの周波数が複雑にからみあった図が出てきます。たくさんの音の中で、周波数の一番小さなものを「基音」それ以外の音を「倍音」と一般的には呼ぶようです。

さて、その「倍音」には大きくわけて2つの種類があります。
そのひとつが「整数次倍音」と呼ばれるもので、基音の振動数に対して整数倍の関係にあるものを言います。基音+「整数次倍音」の音色は、艶があって、ギラギラした感じの音になるそうです。
2つめが、「非整数次倍音」と呼ばれるもので、基音の整数倍以外の不規則な振動により起きる倍音です。「整数次倍音」の艶があってギラギラした感じの音とは違って、ことらの方は、カサカサ、あるいはヒューヒューした風のような音になります。
そして、「整数次倍音(ギラギラ)」を聞くと、荘厳な雰囲気を感じたり、日常を超えたもの、普遍性、宇宙的なもの、神々しさ、宗教性を感じ、「非整数次倍音(カサカサ)」を聞くと、自然を思い起こさせたり、「シーッ」という声が示すような注意を喚起させたり、情緒性、親密性を感じたりするのだそうです。

有名人でいうと、「整数次倍音(ギラギラ)」の代表が、美空ひばり、浜崎あゆみ(歌手)、黒柳徹子、タモリ(話し声)、「非整数次倍音(カサカサ)」の代表が、森進一、宇多田ヒカル(歌手)、堺正章、ビートたけし(話し声)なんだとか。

残念ながら、美空ひばりさんが活躍されていた頃は私自身はまだ子どもだったので、彼女の偉大さというのはいまいち実感できなかったんですが、現在70代前後のリアル世代の方々には熱狂的なファンも多く、まさに「神」扱い、亡くなられた今でも、カリスマ的な人気を持っている方ですね。
浜崎あゆみさんにしても、モデル、女優時代を経て、歌手になってからは、「女子高生のカリスマ」と呼ばれて、彼女のメイクやファッションを真似る女子高生が続出していました。もっとも今は、カリスマ声から、どちらかというと、人々に親近感を覚えさせる「非整数次倍音」の声の方に移行しているようです。

西洋の楽器は、そのほとんどが「整数次倍音」が発生するように、調整されています。もちろん他の理由もあるのでしょうが、その理由のひとつとして、楽器がまさに「神の美」を民衆に伝える道具として発達してきたということが挙げられるのではないか、なんて思います。神の世界には割り切れなさは存在せず、計算されつくした「美しい」世界でした。整数次倍音の出る楽器の代表といえば、パイプオルガンがあると思いますが、パイプオルガンはまさに、「神」を表現するための楽器だったのです。だから、教会に設置されたし、整数次倍音が出る必要があったのでしょうね。そして、人の声によって表現される「聖歌」についても、少年少女合唱隊、とか、グレゴリアン聖歌、みたいなすんだ美しい声で構成されました。

ところが、それに対して日本の楽器は、というと、わざと「非整数次倍音(カサカサ)」が出るように調整されているんだそうです・・・・
というところで、超眠いので、つづく・・・・(笑)
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by sound-resonance | 2016-01-29 20:27 | 観る・読む・聴く | Comments(0)