赤の女王

ひょんなきっかけから「赤の女王」という言葉が妙に気になり、インターネットで検索していると、「アリス イン ワンダーランド」という映画にいきあたりました。ジョニーディップ主演?の2010年の映画、ティムバートンが監督をしていますね。

ストーリーとしては、ルイスキャロルの「不思議の国のアリス」と「鏡の国のアリス」をミックスしたキャラクターを使った、「不思議の国のアリス」「鏡の国のアリス」の後日談のような形になっています。
アリスは、母と姉の策略?で知らない間に自分の婚約パーティーを仕組まれ、貴族の男に求愛されますが、その場を逃げ出し、うさぎを追いかけて「ワンダーランド」に入り込みます。ワンダーランドは、「赤の女王」に支配され、恐怖に満ちた暗い世界となっていました。アリスは、ワンダーランドに伝わる預言書に書かれた「救世主」で、赤の女王の支配下にある怪獣をやっつけ、ワンダーランドの支配権(王冠)を赤の女王の妹である「白の女王」に渡し、ワンダーランドを去ります。
ま、ストーリーは、原作のアリスとは全然違った世界観になっていて、二元論(赤vs白)+戦いみたいな単純明快なストーリーになっているわけですが、そこはおいておいて、今回は「赤の女王」に注目してみたいと思います。

映画の中の「赤の女王」は、「不思議の国のアリス」の中に出てくる女王様と、「鏡の国のアリス」の中に出てくる「赤の女王」をミックスしたようなキャラクターになっています。一応「不思議の国のアリス」に出てくる女王は「ハートの女王」なので、赤い髪はハート型に結い上げられ、頭だけが異様にでかく、おしろい、ブルーのアイシャドー、真っ赤な口紅でお化粧はしていますが、お世辞にも「美貌」とはほど遠いキャラクターです。
フラミンゴとはりねずみを使ってクリケットをしたり、豚のおなかで自分の足を癒したり、傍若無人な態度で君臨、してはいるけれど、その君臨っぷりがなんだか「小さい」赤の女王様。

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片や妹の「白の女王」はプラチナブロンドのウェービーな髪の毛をふわふわとなびかせて、白いふわふわのドレスを着た優しげな女性(私の目からみれば、白の女王もかなりうさんくさいですが、まあ、今はおいておきます(笑))。
赤の女王は、「なんであの子だけがいつも人気があるの?」と嫉妬の炎を燃やしますが、家来からは「好かれるよりも、恐れられている方がいいですよ」みたいなことをいわれ、微妙に納得しちゃうような可愛い?部分もあったります。

女王はこの家来のことを信頼、を通り越して、「あなたさえいればいいわ」みたいに愛しているのですが、家来の方は「女王自身」ではなくて、女王の持っている「権力」を愛していたのでした。

アリスによって、王冠を奪われた赤の女王は、「自分は何をも殺すことはない」という白の女王によって、永久追放の罰を与えられます。家来の方も一緒に追放となり、女王は「一緒ね」といって喜ぶんですが、家来の方はとっさに女王を殺そうとし、それを止められた後、「そんな罰を受けるくらいなら殺してくれ!」と泣き叫ぶのです。

「殺そうとした!私を殺そうとした!!」
裏切られた女、赤の女王・・・・同情している場合ではないんですが、なんだかこのシーン、妙に切なかったです。愛している、愛されているという彼女の唯一の存在価値が打ち砕かれた瞬間。彼女にとっては、永久追放よりも何よりも、重い「罰」だったのではないでしょうか。

ウィキペディアによると、ルイスキャロルは、「不思議の国のアリス」のハートの女王を手に負えない激情や盲目的な怒りの化身として生み出したと記しているそうです。映画の中の彼女のハート型に結い上げられたふくらんだ真っ赤な髪はまさに「激情の赤」なんですね。
そして、原作の「不思議の国のアリス」の中のハートの女王は、伝統的なカードの絵札と比較して、むしろスペードの女王のような服装をしているという指摘もあるそうです。諸説あるとは思いますが、トランプのカードの、ハート、スペード、ダイヤ、クローバーは、それぞれタロットでいうところの、カップ(水/感情)、ソード(風/思考)、ペンタクル(土/物質、現実)、ワンド(火/直感)に対応しています。元々は、感情(ハート)を司る女王が、思考(スペード)の服を着ている、映画の中でも、白の女王が姉である赤の女王のことを「あの人の頭、大きいでしょ、あの人の頭の中では何かが育っていると思うの」みたいなことを言っていましたが、論理的思考を試みようとする中に感情が混じってしまって、妄想がどんどんふくれあがっていってしまっていたのだろうな、という感じがします。映画の中の女王は、特にスペードを象徴するような衣装を着ているようには感じられないんですが、その「思考がふくらんだ感じ」は、目の上の分厚いブルーのアイシャドーで表現されているような気がします。

というわけで、映画の中では、赤の女王は、妹である白の女王に負けてしまい、永久追放の罰を与えられワンダーランドから消えるわけですが、永久追放されちゃった赤の女王の方が、白の女王よりも、人間的であるように見えてしまうのは、私だけでしょうか。周りにいると、確実に迷惑なんだけど、でも、こういうタイプの人、いそうだよな、みたいな・・・(笑)
彼女の怒り、激情の中には、「振り向いてもらえない」「好きになってもらえない」という理由が潜んでいて、そこには「妹との比較」という赤の補色であるグリーンの課題も含まれています。人は人。誰かと比較してもどうしようもないです。無理矢理「思考」という似合わない鎧で武装しなくても、ハートの女王はハートの女王らしくしていれば、ホントは可愛い人だったのかもしれません。そう思わせる余韻を残すところは、さすが、名女優ヘレナボナムカーターさん(特殊メイクすぎて、誰だかわかんないけど(笑))って感じですね。

この映画の続編「アリスインワンダーランド〜時間の旅〜」が、今年7月に日本で公開予定なんだそうです。ちょっと楽しみですね♪
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by sound-resonance | 2016-05-19 20:49 | 観る・読む・聴く | Comments(0)