変態する音楽会
先日、8月27日、東京は初台のオペラシティで開催された「変態する音楽会」というコンサートに行ってきました。
パンフレットには、「感覚の分断を更新する演奏会。身体という物質的な介在を経て感じられるひとつながりの音と光、耳が耳のため、目が目のための分断を超えた音楽をお楽しみください」とあります。
クラシック以外の音楽、例えば、ポップス、ロック、ジャズ等々のライブ(舞台)では、音と光(色、映像)のミックスというのは、今ではそんなに珍しくないように思いますが、言われてみれば、コンサートホールで開催される正統派のクラシックのコンサートでは、確かに、いかに「音」を聴かせるかに特化していることが多いかもしれないですね。楽曲によって、赤、青、緑、紫等々に変化する色の中で演奏するって、交響楽団の皆さんにとっては、普段とは違う新鮮な体験だったのかも。
面白いな、と思ったのは、舞台上のスクリーンに流れていた映像。詳しい仕組みはよくわからなかったんですが、この映像、事前にプログラムされた「既成の」映像なのではなくて、演奏中にリアルタイムに作られたものだったんだそうです。なんでも、演奏中の指揮者のタクトの動きに合わせて手動で映像を作っていたんだそう。1階の客席の後ろの方に、コンピュータのたくさん並んだビジュアル演出エリアがあって、何人もの方が、手動の演出に携わっておられたようでした。
舞台上の色の演出以外にも、限られた席ではありましたが、客席で楽しめる面白い演出があって、ラッキーなことに、私もその中のひとつを今回体験することができました。
「Ontenna(オンテナ)」
「まるで猫のヒゲが空気の流れを感じるように、髪の毛で音を感じることのできる装置」をコンセプトに、ろう者と恊働して開発されたものだそうです。本来は、髪の毛につけて髪の毛で音を感じるのがコンセプトなんですが、今回コンサート全体の音の中から大きな音を取得して振動と光が発生するように調整したところ、予想外に周りの人の目がチカチカしてしまうくらい光が強く出る可能性があるということで、髪の毛以外の場所に装着して体験することに・・・(笑)
というわけで、コンサート中、手に握ってみたり、鎖骨に当ててみたり、胸元に付けてみたりといろいろ試しながら楽しませていただきました。うん、確かに、音に反応してぶるぶると振動し、チカチカとブルーに発光する・・・んだけど、ちょっと反応が遅いんだな・・・(笑)
演奏された曲が、超メジャー、かつ舞曲など、身体感覚に訴えやすい曲目だったのもあるんでしょうが、なまじ「知っている曲」だけに、身体がOntenna君より先にリズムを取ってしまい、遅れてきた振動情報に、まるで微妙にずれた位置をツボ押しされているような微妙な気分に・・・・(笑)
ま、でも、リアルタイムの「音情報」に反応した「振動&光」なので、タイムラグが生じるのは当たり前なんですけどね。途中からは、Ontenna君という別の人格というのか、物体格(?)の反応を、「お、反応してるね!」みたいに確認しつつ音を共有する、みたいなスタンスで楽しませていただきました。
他にも、サウンドハグという音に反応して、光ったり振動したりする球体みたいなものをかかえて演奏を体験するブースもありました。あれも、面白そうだったなあ。機会があれば、体験してみたいです。
実は、この日は、東京で記録的な雷雨があった日。コンサート中はスマホの電源を落としていたこともあって、そんなことは露知らずコンサートを楽しんでいた私。コンサート終了後、交通機関がのきなみストップしていたのには、困りましたが、幸いなことに雨はやんでいたので、見知らぬ町を一駅分歩いたのもご愛嬌。雨のタイミングがずれていたら、コンサートが中止になっていたであろうことを思うと、ラッキーだったように思います。このような貴重な機会をくださいました「&マガジン」様、ありがとうございました♪
唯一撮影がOKだった休憩時間の様子。燕尾服を着た落合陽一さんと赤い服はサプライズゲストのフラメンコダンサーの永田健さん。かっこよかった。
by sound-resonance | 2018-09-03 18:39 | 観る・読む・聴く